「胚盤胞が凍結できなかった。」
「1回目の体外受精が終わってしまった。」
「主治医の先生とのコミュニケーションがうまくいっていない。」
院長先生の診察で今後の治療方針についてご相談したところ、
院長先生が主治医になってくださることになりました。

この記事では、前回の記事に引き続き
・院長先生の診察内容
・培養結果の詳しい説明
・次回の治療方針
を体験談としてまとめています。
今後の治療について悩んでいる方や、不妊治療のリアルな体験談を読みたい方の参考になれば嬉しいです。
※私は医療関係者ではありません。妊活に取り組む一人の女性の体験談としてご覧ください。
待ちに待った診察の日
事前に主人と、診察で何を話すか相談していました。
院長先生を信じて、提案してくださる方針のとおりやってみよう。
そして、もし「何か質問はありますか?」と聞かれたときのために、聞きたいこともまとめておきました。
・今回凍結できなかった一番の問題は何だったのか(卵子の質?)
・ふりかけ法と顕微授精はどちらが良いのか
・自費診療と保険診療について
院長先生の診療は水曜日の12時から。
仕事のある平日でしたが、今後の治療方針について一緒に話を聞いておきたいと言ってくれたので、主人と二人でクリニックへ行くことにしました。
午前中はクリニック近くのカフェで仕事をして、12時前にクリニックへ移動。
平日にも関わらず、待合室はいつも通りいっぱいで、番号が呼ばれたのは13時前でした。
「40番の方、診察室2の前でお待ちください。」
え?診察室2の前…?
診察室2は、副院長先生の診察室。
私がいつも診察を受けていた部屋でした。
副院長先生と顔を合わせたあとに「違います」と伝えるのは気まずい。
そう思い、慌てて受付に行きました。
事務の方に声をかけ、院長先生の診察を希望していることを伝えました。
事務の方は「確認します」と言って奥へ入っていきました。
診察室2の前で待っていた主人が、
「看護師さんに順番呼ばれたよ」
と伝えに来ました。
看護師さんが「どうかされましたか?」という表情でこちらを見てくださったので、副院長先生に聞こえないよう小さな声で事情を説明しました。
以前もお世話になった親切な看護師さんでした。
すぐに状況を理解してくださり、私の順番を飛ばして対応してくださいました。
主人が小声で言いました。
「院長先生の予約枠とってたのに、なんで副院長先生の部屋に通されたの?」
「なんでだろう。院長先生に治療方針を相談したいって伝えてたんだけど…」
もし、
「院長先生の予約枠はいっぱいなので今日は申し訳ありません」
と言われたらどうしよう。
せっかく主人も仕事を調整して一緒に来てくれたのに。
不安がこみ上げました。
そのとき事務の方が戻ってきて、
「この後、院長先生の診察に入っていただきますね。
どのような診察を希望されるか院長先生にお伝えしますので、簡単に教えていただけますか?」
と言われました。
私は事情を説明しました。
「先日はじめての採卵をしましたが、凍結ができず終わってしまいました。
2回目以降の治療方針についてご相談させていただきたいです。
担当の副院長先生が悪いというわけではなく、懸命に治療してくださっているのですが、
コミュニケーションの部分で説明していただきたいことを十分に理解できなかったので、院長先生にご相談したいと思いました。」
事務の方はメモを取りながら話を聞いてくださいました。
「それでは待合室でお待ちください。院長先生にお伝えして、また番号をお呼びします。」
「どのくらい待つでしょうか?」
「すぐにお呼びいたしますね。」
良かった。
なんとか院長先生に相談できる。
もし今日の診察が受けられなかったら、クリニックへの信頼が揺らいでいたかもしれません。
まもなく番号が呼ばれ、診察室1へ入りました。
院長先生の診察
診察室に入り、PCの入ったリュックを置いて椅子に座りました。
院長先生はすぐに、
「本日は手違いがあり、大変申し訳ございませんでした。
今後の治療方針についてのご相談ということでお間違いないでしょうか。」
と声をかけてくださいました。
「はい。先日はじめての採卵をしたのですが、1つも凍結できませんでした。
今後どうしていくのが良いのか、ご相談させていただきたいです。」

院長先生とお会いするのは、これで3回目です。
初めてお会いしたのは、ブライダルチェックの結果を伝えていただいたときでした。
何も知識のない私たち夫婦に、現在の状況をとても分かりやすく説明してくださり、妊娠の可能性についても丁寧に話してくださいました。
言うべきことははっきり伝えながらも、決して強制することなく、判断を私たちに委ねてくださる先生でした。
2回目は、不妊治療を始める決意をして参加した治療セミナーのときでした。
院長先生は診療時間外に1〜2時間を使い、毎月4〜5回のセミナーを開催されています。
不妊治療をこれから始める方向けの内容から、PGTや免疫に関する専門的なテーマまで幅広く扱われています。
「当院を選んでいただく以上、できるだけ納得して後悔のない治療を受けてほしい」
その想いで開催されているとおっしゃっていました。
さらに毎日のLINE配信や、無料のオンライン相談も継続されています。
仕事と治療の両立も重視されていて、夜間診療にも対応。
時には夜11時から診察をされることもあります。
そんな院長先生のクリニックで治療したい。
そう思って、このクリニックで不妊治療を始めることを決めました。
治療セミナーから約2か月。
こうして改めて院長先生と直接お話できることに、大きな期待を感じていました。
培養結果の説明
院長先生はPCを見ながら言いました。
「採卵では卵子が4個採れたのですね。」
私は持参していた資料を取り出しました。
「先生、こちらが私のこれまでのデータです。」
通院ごとの採血結果、薬のスケジュール、採卵結果、受精・培養結果を机に並べました。
院長先生は培養結果の紙を見ながら説明してくださいました。
「4個の卵子が採れましたが、受精に使えた成熟卵は2個。
そのうち1個は正常受精ではなかったため、培養できたのは1個でしたね。
その受精卵も途中までは成長しましたが、途中で発育が止まってしまった。
そのため凍結には至らなかったという結果ですね。」
ゆっくり丁寧に説明してくださるのを聞きながら、私は思いました。
私は、こういう説明を聞きたかったんだ。
副院長先生から「凍結できませんでした」と結果だけ伝えられたとき、
置いていかれたような気持ちになったのは、気のせいではなかったんだと感じました。
院長先生が聞いてくださいました。
「ここまでで、何か聞きたいことはございますか?」
私は質問しました。
「先生、今回凍結できなかった一番の問題は何だと思われますか?
現状のデータを見て、何を改善すればよいでしょうか。」
「そうですね。培養に使えた受精卵が1個しかなかった。
確率的に凍結が難しかったという点が大きいと思います。
採卵個数も、もう少し増やしたいですね。」
私は続けて聞きました。
「採卵前のエコーでは6〜7個あると言われていたのですが、採卵は4個でした。」
院長先生は資料を取り出し、
「採卵時に卵胞があるのに卵子が回収できない原因」
について説明してくださいました。
卵子が空砲や変性卵だったため、回収できなかったと分かりました。
そしてこう続けました。
「(まぁちゃん)さんの場合、AMHが低く卵巣に少し元気がない状態なんですね。でも、2か月前のAMHやその他のデータを見る限り、私の経験上、妊娠できる可能性は十分あります。」
そして治療方針について話してくださいました。
「今回使ったお薬は一般的な刺激方法でしたが、結果を見る限り最適だったとは言えません。
薬の種類や量を調整して、より良い方法を探す必要があります。」
さらに、
「39歳の女性の場合、22個の卵子を採取すれば1回妊娠できるというデータがあります。
最適な刺激で1回あたり6〜7個の採卵ができれば、採卵を3~4回頑張ってもらう必要はありますが、妊娠できるという事ですね。」
1か月に1回の採卵が一般的ですが、場合によっては1か月に2回採卵する方法もあるとのことでした。
「もちろんこれはご本人の希望によります。
強制ではありませんので、ご自身のペースで考えてください。」
顕微授精という選択
私は準備していたメモを見ながら質問しました。
「採卵後の受精方法ですが、ふりかけ法と顕微授精はどちらが良いでしょうか?」
院長先生は答えました。
「今回はふりかけ法でしたね。
受精した2個のうち1個が多核胚になりました。
ふりかけ法では複数の精子が入る異常受精が起こることがあります。
採卵数が少ない場合は、顕微授精の方が確率は上がると思います。」
すると主人が質問しました。
「顕微授精だと、障害を持つ子どもが生まれる可能性は高くなりますか?」
「いいえ。ふりかけ法でも顕微授精でも確率は変わりません。」
主人はほっとした表情で言いました。
「そこだけがどうしても気になっていたので安心しました。」
自費診療と保険診療の不安
最後にもう一つお伺いしてもよろしいでしょうか。
「保険診療と自費診療についてです。
先生の治療セミナーに参加させていただき、私のように年が高くてAMHが低い場合は、
自費診療をおすすめされていました。
私達も納得して今回の治療は自費診療を選択したのですが、
凍結すらできない結果になりました。
もし、今回移植までいっていれば、次も自費診療で頑張ろうと思えたかもしれません。
しかし凍結できないまま、何度か採卵を繰り返す可能性を考えると、
高額なお金が出ていきますし、
毎回の採卵に大きなストレスがかかりそうです。
正直、経済的な理由が原因で治療を続けられなくなることに不安があります。」
治療セミナーで、保険診療では出来ない治療があることを知りました。
治療途中で
妊娠率を上げるためにこの治療を組み合わせましょう。
と先生が判断されても、保険治療のためにその治療を選択できない場合があるとの事でした。
高年齢でAMHが低い女性の場合は、どんな治療でも選択できるように、
自費診療をおすすめされていて、自費診療が妊娠への近道になると仰っていました。
院長先生は、
優しくも真剣な顔でお話されました。
「おっしゃる事はもっともです。
まず、今回妊娠まで導けなかったことに対して、
私どもの力不足を申し訳なく思っています。申し訳ございません。
その上でですが、先ほどもお伝えしました通り、
(まぁちゃん)さんの場合は妊娠できる可能性が十分ありますので、
正直な私の気持ちとしては、ここで諦めないでいただきたい。という気持ちです。
私どものクリニックを信じて、遠方から通っていただいているにも関わらず、
ご期待に応えられていないのが現状です。
もし、もう一度当クリニックを信じていただけるのであれば、
最初から最後まで、私が責任をもって担当させていただきます。
次回、しっかり治療をしていき結果が出るところを見ていただきたいので、
採卵日にお支払いの費用は頂きません。
こちらの条件で、もう一度チャンスをいただく事はできませんでしょうか。」
思いもよらない提案でした。
院長先生が主治医になって下さること。
費用を負担してくださること。
そして何より、その言葉に込められた自信と熱意。
私は思わず主人の顔を見ました。
主人もうなずいていました。
「ありがとうございます。よろしくお願いいたします。」
診察後の気持ち
もちろん、期待しすぎは禁物です。
それでも、患者の気持ちに寄り添い、しっかり対話してくださる先生がいること。
全力でサポートしようとしてくださること。
それがとても嬉しく、心強く感じました。
数時間前まで、採卵を繰り返す未来を想像して不安でいっぱいだったのに、
先生とお話しただけでこんなにも気持ちが変わるのかと驚きました。
診察後、再びカフェに戻り仕事を再開。
18時に仕事を終え、帰りの電車の中で主人と話しました。
「今日ほどクリニックに来てよかったと思った日はないくらい嬉しかった。」
「うん。本当に良かった。先生信じて頑張ろう。」
「先生、すごい自信だったよね。」
「長年の経験とデータがあるからじゃないかな。」
短い診察時間でしたが、とても有意義な時間でした。
まとめ
今回の診察で改めて感じたのは、先生とのコミュニケーションの大切さでした。
不妊治療は身体的にも精神的にも大きな負担がかかります。
だからこそ、不安や疑問をきちんと相談できる先生の存在はとても大きいと感じました。
院長先生が主治医として担当してくださることになり、
もう一度前向きな気持ちで治療に向き合えそうです。
はじめての不妊治療を振り返ると、
夫婦の気持ちのすれ違いや仕事との両立、そして費用の問題など、現実的な悩みにもたくさん向き合いました。
次回の記事では、不妊治療で直面した
・夫婦喧嘩
・仕事との両立
・高額な治療費
について、お伝えしたいと思います。

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